元来、産油国としてのイメージが強いサウジアラビア。
最近ではサッカーの有力選手が数多く移籍し、2034年のFIFAワールドカップ開催が決定するなど、観光立国としての存在感も増しています。
これまでサウジアラビアは、イスラム教徒の巡礼や商用以外の外国人の入国を禁止していましたが、2019年9月より日本人をはじめとする一部外国人の観光入国が解禁されました。
現在、日本人がサウジアラビアに入国するにはビザの取得が必須です。
ビザには大きく分けて「観光ビザ」と「トランジットビザ」の2種類があり、いずれもオンラインで申請可能です。
観光ビザ(eVisa)
サウジアラビアの観光ビザ(eVisa)は、以下のように取得できます。
- 申請方法:公式ウェブサイト(Visit Saudi)から申請可能
- 有効期間:発給から1年間有効で、1回の滞在は最大90日まで可能
- 対象目的:観光、イベント参加、親族訪問、ウムラ(巡礼)
- 料金:
- ビザ発給手数料:約300サウジリヤル(約11,800円)
- 医療保険料込みで合計:約535サウジリヤル(約21,000円前後)
- 支払いはクレジットカード決済
申請は非常にスムーズで、数分〜1時間程度で即時発給されることも多いそうです。
ただし、陸路での入国や特定の地域への移動には制限がある場合があるので、最新情報は公式サイトで確認しましょう。
トランジットビザ(乗り継ぎ用ビザ)
トランジットビザには、事前申請が必要なeVisaタイプと、空港で取得できるアライバルビザの2種類があります。
eVisaタイプ(オンライン申請)
- 利用条件:サウジアラビア国営航空「Saudia」またはLCC「flynas」の航空券を持っている場合
- 申請方法:航空券予約時に同時に申請可能
- 費用:無料で提供される場合もあり(航空会社による)
アライバルビザ(空港で取得)
- 利用条件:空港到着後、その場で申請(イミグレーション通過前)
- 費用:480サウジリヤル(約19,000円)
- 支払方法:クレジットカード可
- 注意点:混雑時は発給に時間がかかることがあるため、乗り継ぎ時間に余裕を持つことが重要
【体験談】リヤド空港でのトランジットビザ取得と乗り継ぎ
今回は、到着と出発で異なる航空会社を利用したために、急遽アライバルビザで入国することになった実体験を紹介します。
皆さんの旅の参考になれば幸いです。
ロンドン→キプロス→サウジ→インドへ格安移動ルート
2023年10月、世界約1周の旅の終盤戦。
ヨーロッパの旅を終え、ロンドンからデリーに向かう航空券を探していたところ、ロンドン→ラルナカ(キプロス)→リヤド(サウジアラビア)→デリーというLCCルートが格安だったので発券。
- ラルナカ→リヤド:Wizzair
- リヤド→デリー:flynas
を利用しました。リヤドでの乗り継ぎ時間は3時間。
しかし、この到着と出発が異なる航空会社という点が、後に大きなポイントとなりました。
各機関に問い合わせても答えがバラバラ
サウジアラビア観光庁の公式ページなどを確認しましたが、「到着と出発が別の航空会社の場合、トランジットビザは必要なのか」という疑問には明確な答えがありませんでした。
そこで、在サウジアラビア日本大使館にメールで問い合わせると:

「現場においてさまざまな対応がある」とのこと。
さらに、在東京サウジアラビア大使館にも確認。

「イミグレーションを通らない場合は通常トランジットビザは不要」との回答。

一方、到着便のWizzairからは:
「イミグレーションを通過する必要がある」との案内。
つまり、三者三様の回答だったのです(特殊な例なので仕方ないです)。
結果:現地でアライバルビザを取得
事前にトランジットビザを取得するか迷いましたが、ビザの値段も日本円で約2万円と安くはないため、都合よくサウジアラビア大使館の言葉を信じて現地で対応することにしました。
実際にキングハーリド国際空港に到着すると、スタッフからは:
「flynasのカウンターは制限エリア外。イミグレーションを通る必要あり=アライバルビザが必要」
との案内がありました。
アライバルビザの発給プロセス
- イミグレーション横のカウンターで申請
- 21時前でカウンターは1名対応、10人以上並んでおり時間がかかる
- クレジットカードで支払い可能
- 約480リヤル(約2万円)で発給完了
時間には少し余裕を持っていたものの、正直ドキドキでした。
空港ラウンジと出国まで
ビザ取得後、flynasの国際線カウンターでチェックイン。
サウジアラビアらしい民族衣装の男性が並ぶ独特な雰囲気に圧倒されながらも、スムーズに出国手続きを済ませました。
その後、プライオリティパスでHAYYAK VIP LOUNGEへ。
- 内装:中東らしい豪華さ
- 食事:豊富なラインナップ
- お茶:名物っぽいものを試すも正直イマイチ…
そして無事、デリー行きのフライトに搭乗できました。
サウジアラビアの入国は慎重に
たった30分間のサウジアラビア滞在に約2万円の出費。
後から考えれば、2万円足せばレガシー航空会社のロンドン→デリーの直行便に乗ることもできたと思います。
でも、”普通の旅行では味わえない“未知の国でのイミグレーション体験”ができたのは、まさに旅の醍醐味でした。
サウジアラビア入国で気をつけるポイント(まとめ)
- 到着と出発で異なる航空会社を使う場合、イミグレーション通過が必要な可能性大
- flynasやSaudiaを使う場合はトランジットeVisaを事前取得推奨
- アライバルビザは時間と費用がかかるので注意
- 不明点は大使館や航空会社へ事前確認を
この記事がみなさんの参考になれば幸いです。
トランジットビザの扱いが曖昧な国だからこそ、現地でのリアルな体験談はきっと役立つはず。
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